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2011年12月 4日 (日)

布の奥行きを見比べる

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今回の新作展での展示の見所の一つとして、衣桁に3つの着尺を並べて飾りその布の味わいを比較しています。小熊素子さんの真綿紬やたら無地手織草木染め、仁平幸春氏の草木染め全面ロウムラ、砂川恵子さんの座繰紬細縞手織。濃い赤墨、紅鳶、茶鼠といった色合いの順に並んでます。織り2点に染め1点。競演してます。

織りの着尺は構造的に奥行きが出るのは当たり前ですが、最近の多くの紬は、経て糸に細い絹糸を使用しているものが、とても多いのです。この傾向は本場の結城紬にも言えて、経て糸が細いほうが俄然、織り易く、早く製品になるのです。経てが太いととても織り辛いの分かるのですが、織りの着物として骨格をなす経て糸が細いことは、織りあがった布の味わいを半減させてしまいます。経て糸が太い方が明らかに生地も丈夫なのですが。。。緯糸だけ生地の風合いを出そうとするのが、最近の紬の主流で、そうさせたのはコスト計算する、またはやたら絣の細かさで値段を上げようとしたメーカーの罪です。結果的には紬でありながら、奥行を感じられない平坦な織物が多く出回りました。

無地で奥行きを持たせる、それも平織りの組織で。これは織り手の力量を試される難しい着尺となるのですが、その実、着手にとってはとても使い回しの効く着物になるのです。ここ10年くらいは、ようやく無地の織りの着物の良さが認められましたが、残念ながら流通している多くの無地感覚の紬は、すぐに見飽きてしまいます。その大きな原因の一つは、先ず経て糸にあるのです。

小熊さんも砂川さんもまず、経て糸に味わいがあります。そして緯糸。やたら無地という小熊さん独特の緯糸の入れ方は、無地紬でありながら、見飽きることはありません。
砂川さんの細縞紬は、昔の問屋や呉服屋に言わせれば、難物です。太い節のある糸を使いながら細い縞を織るのは大変です。よく見かける整った綺麗な縞ではありませんが、眺めていてこれまた見飽きないのです。

僕の語彙からの表現では、『見飽きないんだよな〜』『なんか味わいがあるんだよな〜』としかないのでお許しください。

そして、なか志まや用に染めた貰った仁平幸春さんの草木染め全面ロウムラ着尺。
染めの着尺なので、当然先に白生地が存在します(栃尾紋織真綿紬・檜垣紋)。僕は昔から仁平さんのロウ染めの使い方に興味がありした。世間一般でいうロウケツ染めとは明らかに違う、ロウを使った染めの技術。白ロウを使ってそんな風に染めれば誰でもそういうムラになるじゃん!と言う方は、もう私とは意見があいません。

このムラの着物は、『先染め先練り強撚糸の紋織り』のなか志まやに大きな変化をもたらしました。

すべての着物に求めているのは、まずは奥行きです。それは糸の種類、糸を染める方法、布にする織り方、織り上がった布への染めの手段。どの段階にも、あきらかに同じ方向性をもたせて、一つの着尺を作り上げて行きます。そうすることで、シンプルで美しく、いつまでも見飽きない、その都度に発見のある着物を手にする事が出来ます。

奥行きある3反を並べ、眺めながら、自分の眼が間違っていないか、検証する日々になりそうですね。
(会期中に展示が変わりましたら、ご容赦くださいませ。)


左より 小熊素子 真綿紬やたら無地手織草木染め着尺  帯 織楽浅野/袋帯

中   仁平幸春 草木染め全面ロウムラ着尺(栃尾紋織真綿紬・檜垣紋)  
     袋帯  三丁箔 真綿紬使用 菱紋

右   砂川恵子 座繰紬細縞手織    帯 仁平幸春 インド更紗 紬地


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