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2010年8月21日 (土)

阪口鶴代さんについて

ギャラリー無境のホームページより

阪口鶴代 SAKAGUCHI Tsuruyo <絵画>
1955年和歌山県生まれ。1981年東京芸術大学美術学部油画科卒業。1983年東京芸術大学大学院油画技法材料専攻修了。1985年東京芸術大学大学院保存修復技術専攻修了。1988年~1989年イタリア・ギリシア旅行。1998年、1999年(NICAFに出品)、2001年、2003年ギャラリー無境にて個展開催。


約2年に1回のペースで、ギャラリー無境でのみ作品を発表している阪口鶴代さん。今は伊豆に住み、美しい自然からインスピレーションを受けながら、静寂の中で制作に打ち込んでいます。技法は、シナベニヤのパネルに和紙を貼り、天然の白亜を染み込ませた下地の上に、岩絵の具や土石を砕いて作った手製の顔料で描くという独自のものです。一枚一枚ゆっくりと描き深められた作品は、日本画・洋画という分類を超えた独特の質感を持ち、心の奥深くに響いてくる無垢な美しさに満ちています。

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『つき抜けるまなざし』(日本・阪口鶴代作)

 時を経たやつれが美しい、百万塔に残る白土の白。薄明かりの茶室にほんのりと浮かぶ、志野茶碗の白。そして阪口鶴代の描く、岩絵具の白。ある時は暖かな光のように慈愛に満ちて、またある時は降りしきる雨のように索漠として、彼女の白はそれぞれに微妙なニュアンスを持つ。きっぱりとした白亜と群青(焼き群青)のコントラスト。細かく引かれた線は、不定形のイメージを紡ぎ続けてやまない…いつしか思いは何処かへと浮游してゆく。なんという静けさなのだろうか。音の無い世界で、あなたはもう一人のあなたと巡り会うのだろう。懐かしさと戸惑い。喜びと恐れ。無垢な心が描く世界のなかで、わたしたちは皆、剥き出しの魂を抱いた幼児のように美しく透き通っている。阪口鶴代はわたしの大切な、そしてまだまだこれからが楽しみな画家のひとりである。

他の方のネットから抜粋

同じ銀座の画廊で兄の弟子という方が個展を開いているというので、そちらに回ってみた。
 阪口鶴代という、まだ中堅といっていい女性の画家である。この人は油絵の出身だが、芸大卒業後も兄のグループの一員として活動を続けてきた。現在は伊豆の自然の中で、ひとり地道な制作を行なっておられる。
 じつは私は、いわゆる抽象画というものがよくわからない。
ゴッホは20世紀絵画への重い扉を開いた画家の一人だが、ごく大雑把にいえば、それはフォーヴィスム(野獣派)やキュビズム(立体派)などに引き継がれて、やがて現代の抽象画へと変貌する。その過程に無数といっていい表現手法が編み出されるが、いずれもが画家の自己表現の究極の手法といっていい。それらをひとくくりにして、ここでは「抽象画」といっているが、私にはどうもそういう絵がよくわからないのである。したがって、あまり期待せずにこの画廊を訪れた。
 阪口氏の絵は、ご本人の了解を得たわけではないが、それら「抽象画」の部類に入るだろう。小さな画廊に20号前後の絵が10点ばかり展示されていた。しかし入口に掛けられた最初の絵を見るや、妙に心が動かされた。黒と濃い群青を背景にして白っぽい壁が描かれているだけの絵なのだが、画面全体から発する「気」のようなものが、心の琴線を打った。その「気」の源流は、おそらくこの画家が持って生まれたロマン的なメランコリーであり、それに裏打ちされたひたすらな努力と誠実さなのだとおもう。画面のそこかしこからそれを感じ取ることができるし、「ここまで真摯な姿勢で描くのか」と感じ入ってしまう。その作風と姿勢は、『アルル〜3』の章で書こうとおもっているアドルフ・モンティセリ(1824〜1886)に似通ったところがあるだろう。現代、無数の画家が活躍し、そのほとんどが自己表現手法に苦しみ、挙句の果てに愚にもつかない安易な道を選んでしまうという惨憺たる状況のなかで、これほどの誠実さで自己を見つめ表現する画家が存在することは、画壇の将来に一筋の燭光を見たような気がする。ともあれこの日は、久しぶりに「若手」の本物の絵を見せて頂いた。

ネットから抜粋

温かみのある、それでいてしっかりとした色彩や形が、独特の質感で描かれ、あらゆる形容詞の対義語を思い出させる。大胆さと繊細さ。柔らかさと強さ。温かさと冷静さ。 外側への力と内側への力が、均衡を保っているのか、観ていて不思議と気持ちが落ち着く。

板に和紙を張り、その上に「壁」を塗ったキャンバスへ、岩絵の具で描かれたそれらの抽象画は、さまざまなイメージを持つ青の印象を、最後に強く残すように思えた。


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